体だけでも繋がっていたいから──『幼なじみ同士じゃいられない‐差しだしたカラダから始まる恋愛』

幼なじみ同士じゃいられない‐差しだしたカラダから始まる恋愛

もどかしい幼なじみの二人を描く『幼なじみ同士じゃいられない‐差しだしたカラダから始まる恋愛 』(作・蜂谷ナナオ)。この作品は、とにかく絵が美しい。そして、 ジーンと疼くような濃厚セックスシーン。幼なじみモノが好きな人はもちろん、そうでない人も、ちょっと(かなり?)えっちな漫画を読みたいときにはうってつけの作品だ。

 

両想いなのにすれ違う二人。自分勝手な想いはいつか成就するのだろうか──?

 

もう一度、私を見てほしい

県外の高校へ推薦が決まったとき、幼なじみの大和に告白された汐里。二つ年下の大和を弟のように思っていた汐里は、恋愛感情を持たれていたことに怖くなってしまう。

 

汐里が頑張っていた陸上をずっと近くで応援してきた大和。それなのに、「もう応援に来ないで」と突き放してしまう。

 

これがきっかけで、幼なじみの二人には埋められない溝ができてしまう。しかし、距離ができたことで大和への気持ちを自覚する汐里──。

 

思春期にありがちな、「そんなつもりじゃなかった」そんな感情から始まるこのお話。

 

初っ端から、ズブズブのセックスシーン。「私は一度選択を間違えた… だから、二度と大和から与えられたものを拒むことはできない」大和が好きだから。汐里は大和とのセックスで、なんとか関係を繋ぎとめようとしている。

幼なじみ同士じゃいられない‐差しだしたカラダから始まる恋愛

貪るような大和のセックスは、どこか焦燥感を紛らわせようとする切なさがある。一度は大和を拒み、逃げるようにして距離を置いた汐里。

 

汐里に対する大和の態度は、終始冷たい。それに対する、荒々しいセックスのアンバランスさ。まるでふたりの関係を表すよう。

 

すれ違うふたりの心

この作品の見どころのひとつが、汐里と大和のすれ違い。

 

陸上で推薦された汐里は、県外の高校へ進学。寮生活を送りながら陸上を頑張るなか、事故で足を負傷してしまう。足に大きな傷を負い、走れなくなった汐里。大和はそのことを知らない。

 

大和からしてみれば汐里は、『陸上を中途半端に辞めて、拒絶したこともなかったことのように接し、成長した自分を見て目の色を変えた女』。あんなに拒絶したくせに。

 

あとから大和への気持ちに気づいた汐里の本当の気持ちを知るはずもない。

 

見せつけるかのように他の女の子とセックスをする大和。嫉妬と自分の惨めさに打ちひしがれながらも、大和との関係をなんとかして修復したい汐里は、体で大和をつなぎとめようとする。

幼なじみ同士じゃいられない‐差しだしたカラダから始まる恋愛

「なら…して? 大和の好きにしてよ」
「意味… 分かってんのかよ」
「うん」

 

小さかった頃とは全然違う大和の体。優しくしてくれなくていい、それで大和の気が済むなら。そしてもう一度私を見て。他の子を抱かないで。

 

恋も分からなかった過去の自分がしてしまった、誤った選択。『大和を傷つけてしまった』汐里。もしかしたら、汐里に嫌悪感を抱く読者も少なくないかもしれない。それほどまでに、汐里の言い分はある意味で勝手に見える。

 

でも、“なんとかして好きな人をつなぎとめたい”、この気持ちに共感できる女性は多いと思う。

 

すれ違う思いは、さらに誤解を重ね、ふたりの関係はどんどん複雑に縺れていってしまう。そして、縺れれば縺れるほど、大和は苛立ちをぶつけるかのように汐里を抱く。

 

二人の未来に光はあるのか?

読み手からしてみれば、「汐里が自分の気持ちを素直に言って、事故のことも足の傷のことも打ち明ければすべて済むのでは……? 」という話である。

 

でも、汐里は言わない。そして、どんどん大和とのセックスに溺れていく。快楽に溺れていく。

 

2巻以降もかなり濃厚なセックスが繰り返される。気持ちがすれ違ったまま体を重ねる二人。汐里と大和の未来はハッピーエンドだろうか?

 

もどかしい二人の関係を、最終巻まで見守りたい。